研究内容

意識調査

 子宮移植には多くの倫理的・社会的課題が内包されているため、社会に対して子宮移植に対する十分な情報提供を行い、社会や患者当事者のニーズを把握した上で、社会的コンセンサスを得る必要があると考えられます。そのため、継続的に子宮移植に対する意識調査を行い、その情報を公開していきたいと思います。

【若年女性に対する子宮移植のアンケート調査】(2014年12月)
25歳~39歳の女性3712名に対して子宮移植におけるインターネットによるアンケート意識調査を行いました。

ドナー/レシピエント候補者に関する質問では、ドナーは死体(脳死・心停止)ドナー(33.8%)、母親(19.0%)が、レシピエントは生まれつき子宮がないロキタンスキー症候群(54.4%)、子宮悪性腫瘍による子宮摘出後(20.0%)の方が多く支持されました。

 子宮移植を希望する理由として、「どうしても自分たちと血の繋がった子どもが欲しいから」(35.8%)、「子宮性不妊で悩む女性に少しでも希望を持たせられるから」(33.1%)が多く、希望しない理由として、「自分や他人の身体に危険をおかしてまで妊娠・出産はしたくない」(35.7%)が多い意見でした。

 子宮移植、代理懐胎、養子制度の対比では、養子制度(62.1%)、子宮移植(34.7%)、代理懐胎(18.1%)の順に支持されました。また、子宮移植に対して個人的に「賛成」である人が44.2%、「どちらともいえない」が47.5%、「反対」である人が8.3%という結果でした。

 これら結果より子宮移植は代理懐胎より支持を受けやすく、また子宮移植は日本でも許容できるのではないかという肯定的な意見が多い傾向ありました。

 しかしながら、子宮移植という技術がまだ十分に社会に知られているわけではなく、私達医療者側から子宮移植のメリット・デメリットを含めた情報を正確に社会へ発信する必要があり、その上で子宮移植が我が国で求められる技術となり得るかの議論がなされていくべきであると考えております。