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2016年

2016年1月6日〜7日

 
 2016年1月8日から9日の2日間にわたり、Sweden(Gothenburg)のSahlgrenska大学病院内において開催された国際子宮移植学会(International Society for Uterus Transplantation:ISUTx)の設立のための国際会議に菅沼信彦先生と私(木須伊織)が設立理事として参加させて頂きました。
 子宮移植が世界でも数か国で行われるようになったことを受け、子宮移植における科学的改革や医療の進歩を担うことをvisionとして、本学会を国際的に立ち上げる運びとなりました。この設立会議には、世界18ヶ国から主に産婦人科医、移植外科医の計約70人の子宮移植研究者が集結しました。
 2日間のうち、初日は世界各国のチームから研究報告や今後の予定、2日目には学会の運営に関する会議や国際的な子宮移植の登録制度に関する議論が行われました。

初日の海外の各チームの報告では、スウェーデン、トルコ、中国からは人での臨床応用の報告やその成績についてのプレゼンがありました。特に中国のロボット手術での生体間の子宮移植の報告に対して多くの議論がなされました。また症例数が多いスウェーデンからは、9人とtrialで妊娠率86%、出産4人、妊娠中1人の成果報告があり、今後は9人のロボット手術、20人の脳死からの提供を予定していると報告がありました。また、これらの国以外でも多くの国が既に適格規準、プロトコール作成、倫理申請を進めており、世界でも子宮移植の臨床用が行われる動きとなっていることが感じられました。日本からは私が主にこれまでの霊長類動物を用いた研究成果について発表させて頂き、日本チームのこれまでの研究活動や研究成果は非常に国際的にも好評価であると感じました。
 2日目の運営に関する会議では、本学会での役職に関する議題で、理事長はスウェーデンのリーダーであるMats Brannstrom先生が担うこととなりました。次に副理事長として、我々日本のこれまでの研究活動や成果が、”meticulous and oriented research approach to uterus transplantation”と国際的にも評価され、「日本のチームから」との推挙を頂き、菅沼先生がその重役を引き受けることとなりました。

 最高気温が氷点下である極寒の天候の中で行われた会議でしたが、日本チームとして本会議に参画でき、さらに海外の研究者と情報交換を行うことができ、我々にとっても大変意義のある会議となりました。国際子宮移植学会の設立により世界でも子宮移植研究が推進されることが期待されます。
(文責 木須伊織)
  

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